コラム

離婚に踏み切れない理由

離婚相談に来られる方の中には「私は離婚した方がいいでしょうか」とのご質問をされる方もおられます。

基本的に離婚をする場合とは、もう我慢ができない状況になったとき、つまり限界点に達したときということができるのではないでしょうか。この質問をされる方は、そこまでに至らない方、または限界点なのかを知りたくて来られる方かと思います。

離婚に踏み切れない理由には、いろいろあると思いますが、大きくは以下のような場合、またはこれらが重なっている場合かと思います。

 

1 経済的なものや世間体から離婚できない場合

何年も家庭内別居を続けながら、経済的な安定や世間的評価を気にして離婚できない場合、この中には、世間的には良い伴侶を見つけて、上手くいっていると思っていたのに思い通りにはならなかった場合や、そうでなくても、いないよりはいた方がいいとの判断をされている場合等があると思います。

しかし、愛のない人生を送り続けることは難しいと思います。人生は多難であり生き抜くためには、愛ある伴侶と助け合わなければ難しいと思います。若いときは人生は長いと思っていましたが、過ぎてみればあまりに短いように思います。愛のない単なる同居人と化した伴侶といることは、結論を先延ばしにしているだけのように思います。

 

2 子のことを考えて離婚できない場合

子を思うことは、親として正しい考えであることは言うまでもありません。しかし、考え方も時代とともに変わっていくものと考えます。現在、離婚は当たり前に見られるようになっております。親が悲しみに耐えて子の成長だけを楽しみにしてきた時代は過去のものとなりつつあります。むしろ前向きに明るく生きることの方が、子にはよい影響を与えるものと思います。

現在は、福祉の充実や、一定の所得制限はあるものの高校無償化や大学無償化(2020年から実施)が制度化され、奨学金の充実等、子の進学は保障されております。また、養育費の充実も制度的に保障されておりますので、子の将来をことさら重要視する必要はないと考えます。

 

3 自信を失って、新たな出発ができない場合

客観的には何の問題もない方でも、家庭不和が続き自信を失って離婚に踏み切れない方もいらっしゃいます。このような方は、結婚ないし離婚をあまりに大きく考えすぎているのではないでしょうか。30年以上前に著名な女性裁判官の草分け的な方とお話ししたとき、「たとえ結婚が向いていないと思っている方がいたとしても、5回結婚すれば必ず一人くらいはうまくいくものですよ。今の時代はそう考えていくべきだと思います。」と言われて、深く感じ入ったことをおぼえております。

 

上記のように考えたとしても、やはり離婚はそれなりの覚悟がいるとは思います。その際、自分が納得して離婚するためには、適切なアドバイスをしてくれる弁護士の存在は不可欠なものと考えております。そして、離婚に踏み切られた多くの方から、「離婚してよかった」と言っていただいておりますので、これらの考え方は間違いではないと思っております。

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